当社グループでは、グローバルに事業展開を図っています。各拠点において、さまざまなリスクが発生しますが、そのリスクに対し、リスクマネジメント委員会の指揮の下、リスクマネジメント第一報を発信し、経営および関係部署と情報共有を図り、改善に取り組んでいます。また、内部統制における取り組みとして、グローバルスタンダードである「3ラインモデル」に沿った取り組みをグループ全体で進めています。
第1ラインは、主に製造所やグループ会社の製造や販売部門であり、いわゆる「現場の第一線」です。各拠点において業務遂行上想定されるさまざまなリスクを適切にコントロールしています。
第2ラインは、本社部門や各中央委員会が中心となり、コンプライアンス、人権、財務経理、IT、品質、健康安全などを主管しています。担当する領域において、リスクマネジメント第一報に対する対応だけでなく、過去に発生した事例をもとにした勉強会を開催するなどグループ全体の統制機能の支援に取り組んでいます。
第3ラインは、内部監査部が組織内の利害から独立した立場で、取締役会や経営に対してリスクマネジメントとコントロールの有効性に関するアシュアランス(保証)を提供する役割を担っています。監査対象は、第1・2ラインの活動を含む、組織のあらゆる領域となっています。
リスクマネジメント委員会では、グループ会社を含めた内部統制を統括的に実施し、各中央委員会および本社部門と連携し、リスクマネジメント活動におけるPDCAサイクルを実現させています。
3ラインモデル
・第1ライン(業務執行):製造所、グループ会社
・第2ライン(監督):本社部門、各中央委員会(健康安全・環境防災・品質)
・第3ライン(内部監査):内部監査部
出所:内部監査人協会(IIA)ウェブサイトより引用し、当社グループ用に一部加工
当社では、リスクマネジメント委員会を中心に、グループ全体でリスクの未然防止および発生時の迅速な対応に取り組む体制を構築しています。各部門およびグループ各社がリスクマネジメントに関わる年間活動計画を策定し、継続的な改善活動を推進しています。リスク事案が発生、またはそのおそれがある場合には、リスクマネジメント委員会等に報告され、重大性に応じてリスクレベルを判定し、対応しています。あわせて、毎年度、リスク管理に関する重点テーマを設定し、実効性のある運用に取り組んでいます。2024年度は以下の3点を重点テーマとして定め、取り組みを進めました。
(1)想定外の領域を縮小させるBCM(事業継続マネジメント)の推進
災害や感染症などの緊急事態に備え、BCP(事業継続計画)の見直し、耐震化や訓練の実施を通じて、事業の持続性確保に取り組みました。
(2)サイバー攻撃への対応強化
技術面では、なりすましメール対策や脆弱性対策ツール、EDR・SOCの導入を進めたほか、年4回のeラーニングや年2回の標的型攻撃メール
訓練を通じて、セキュリティ意識の定着を図りました。
(3)人権尊重を含むコンプライアンスの充実
刷新したコンプライアンスガイドブックを活用し、従業員への意識浸透を図るとともに、講習やフォローアップを継続的に実施しました。
これらリスクマネジメント委員会の活動内容は、委員会での報告後、取締役会に報告され、継続的な監督の下、実効性の確保に努めています。また、財務面では流動性リスクへの備えとして、主要金融機関とのコミットメントライン契約を締結し、緊急時における資金確保にも対応できる体制を整えています。
「グループ会社管理規程」に基づいて、当社の主管部門がグループ各社から事業方針、計画、決算等について適宜報告を受け、重要事項については経営会議または取締役会において決裁しています。また、グループ各社の自律的な経営を促すとともに、グループ各社の業績やリスクマネジメントの状況等を評価項目とした経営健全度評価を年度ごとに実施し、この結果に基づいて、当社の主管部門がグループ各社への指導・支援を行っています。
「グループ基本理念」および「グループ行動規範」を定め、ウェブサイト、社内報、グループ・コンプライアンスガイドブック(2023年10月第3版改訂)等を用いて、当社グループの役員および従業員へ周知しています。また、当社のリスクマネジメント委員会の主導の下、当社の各部門およびグループ各社は、コンプライアンスの徹底についての年間活動計画を策定し、改善活動を推進するとともに、情報共有を行っています。加えて、当社の主管部門等が、当社グループの各階層に対する各種のコンプライアンス教育を実施しています。
なお、「グループ基本理念」および「グループ行動規範」については、年1回取締役会の業務の適性を確保するための整備・運用状況の確認を通じてその有効性を確認し、必要に応じて改正しています(いずれも2022年5月11日が最終改正年月日)。
- 企業理念
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グループ・コンプライアンスガイドブック
(4,342KB)
当社グループでは、コンプライアンス強化のため、社内外に相談・通報のための窓口を設け、当社グループの従業員や取引先事業者等から企業倫理全般に関する相談・通報を受け付けています。匿名による相談・通報が可能で、窓口に寄せられた相談・通報に関わる秘密は守られます。相談者・通報者はもちろん、事実関係の確認に協力した方に不利益な扱いは行いません。
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相談・通報窓口 |
① 社内:グループ企業倫理相談室 ② 社外:グループ・コンプライアンス・ホットライン(外部の弁護士事務所) |
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相談・通報できる人 |
当社グループの役員、従業員およびその家族、退職者、取引先事業者(請負業者、合弁相手、その他協業先等を含む) |
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相談・通報の対象 |
当社グループの業務に関し、法令、企業倫理、グループ基本理念、グループ行動規範または社内規程に違反していると思われる行為(ハラスメントや児童労働等の人権侵害や贈収賄を含む汚職に関する事項なども含む) |
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調査・是正 |
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監査役は、取締役会のほか、常勤監査役による経営会議その他重要な会議への出席等を通じて、内部統制・監査部やリスクマネジメント委員会等の活動内容、その他当社グループに重要な影響を及ぼす事項等について報告を受けています。また、代表取締役と監査役との定期的な意見交換会のほか、社外取締役と監査役との情報共有ミーティングを開催しています。
当社グループにおいて、リスクマネジメントに関わる事案が発生または発生するおそれがある場合は、「グループ・リスクマネジメント規程」に基づいて監査役へも報告しています。また、「グループ企業倫理相談室およびグループ・コンプライアンス・ホットライン規程」に基づいて、内部通報について監査役へ報告する体制を整備しています。
当社グループは、汚職・贈収賄等の腐敗行為は企業の信頼を著しく損なうリスク要因であると認識し、健全な企業活動と発展促進のため、全てのステークホルダーの皆さま(お客さま、お取引先さま、地域の皆さま等)と公正・透明な関係を構築し、あらゆる形態の腐敗行為を行わないことを宣言する「トピー工業グループ腐敗防止方針」を制定しています。
また、サプライチェーンに関する「トピー工業グループサプライチェーンマネジメント方針」においても腐敗防止について規定しており、当社グループの取引先事業者とも協働して腐敗防止に取り組んでいます。
ルールの整備にとどまらず、グループの役員・従業員への腐敗防止に関する教育の実施や、汚職・贈収賄等の腐敗行為が疑われる事項について当社グループの内部通報窓口で相談・通報を受け付ける体制を整備するなど、運用面でも腐敗防止に向けた取り組みを進めています。
当社グループは、さまざまなステークホルダーに対して税の透明性を高める必要があると考えており、税務に関するコンプライアンスやガバナンスについて定めた「トピー工業グループタックスポリシー」を制定しています。
当社グループは、「トピー工業グループ知財方針」を制定しています。本方針では、知的財産を事業の持続的成長を支えるツールと位置づけ、特許に限らずノウハウを含むものと定義し、その管理の厳格化を進めるとともに、知的財産の可視化、分析、活用により、イノベーティブな知的財産戦略を創出することを定めています。本方針の下、当社グループは知的財産の創出や知的財産に関するコンプライアンス・ガバナンスの向上に努めます。
