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- 専務取締役
阿部 正裕
技術、健康安全、DX戦略、研究開発センター管掌
当社グループは「TOPY Sustainable Green Vision 2050」を掲げ、2050年までに持続可能で豊かな社会の実現を目指しています。このビジョンは、カーボンニュートラルの達成や安心・健やかな生活の提供に向けた取り組みを柱としています。また、このビジョンの実現と持続的な成長を目指し、DXのさらなる推進をサステナビリティ戦略の重要なテーマの一つとして位置づけています。
これまで、基幹業務システムの刷新やエネルギーの見せる化、生産現場のスマートファクトリー(SF)化など、さまざまな施策を実施し、いくつもの成功事例があります。豊川製造所では「エネルギーの見せる化システム」を活用して工場の稼働状況に応じた電力需要シミュレーションを行い、ピーク電力を平準化した契約電力の低減を実現。令和6年度のエネルギー管理優良事業者等 中部経済産業局表彰を受賞しております。
今後は、当社グループの強みの源泉となる技術力をより進化させるために、操業・エネルギー・品質データ等を一元管理し、AI活用を進めるとともに、そのデータから組織の枠を超えたアイデアを生み出し、全社一丸となって新たな価値創造を加速してまいります。
当社グループを取り巻く経営環境は、グローバルでの競争激化やカーボンニュートラル等の気候変動対応などこれまで以上に不確実性、変化の激しい競争環境に直面しています。このような環境下、建設業界におけるBIM適用や、車業界におけるCASE、MaaSなど、当社のお客様においてもデジタル化が加速度的に進展しています。こういった環境変化へ迅速に対応し、顧客と共創していくためにはデジタル技術の活用が不可欠なものとなっています。
データドリブン:アイデアや経験からではなく、データを起点に活動がスタートされること
デジタルツイン:現実空間の情報を基にリアルタイムで仮想空間に再現する手法
現在当社のDX推進は「情報として整える」レベル3相当までステージアップしてきています。今後は生産・環境・品質などのデータを連携し、さらなる効果創出を目指していきます。
デジタル技術を活用してピーク電力を低減
「エネルギー見せる化システム」の実績データをベースに、電力需要をシミュレーションして、ピーク電力によるコスト低減を実現しました。具体的には、電力実績データをもとに、生産需要に応じたピーク電力を30分毎に予測し、休憩時間シフトや設備起動タイミングの適正化により契約電力を減設しました。(図➀、図➁)
今後はAIを活用した予測精度向上によるさらなるピーク電力低減施策の実証を図ります。また、将来、省エネ法※1改正対応の進展として社外とのDR※2でのボーダレス連携を見据えて、操業と電力需要管理の基盤を構築していきます。
※1 省エネ法:エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律
※2 DR(デマンドレスポンス):需要家側のエネルギーリソースを制御し、電力需要をコントロールする仕組み
豊川製造所の黒字化への取り組み
SF化(スマートファクトリー化)の一環として、モデルラインの操業実績や一部の品質データ収集を行い効果的な分析を可能にする環境を構築したことで、データを活用した改善のサイクルが生まれ、生産性向上や業務効率の改善を実現しています(図①)。
具体例としては、「週間日別スコアシート」を用いて能率指標別に良否の判断をし、スコア判定が赤となった部分に対して詳細分析を行い、問題を把握して、有効な改善をすることで、生産性向上を図っています(図②)。
この活動は、デジタルエキスパートとデジタルチャレンジャーにより、データ分析の「週間日別スコアシート」の作成やデータを活用した業務変革を推進した先行事例です。本取り組みは、当社DX推進のロードマップでは情報として整えるレベル3相当に進展しています。今後はエネルギー・操業実績・品質実績等のデータを連携して活用することで、さらなる成果発現を目指していきます。
当社では、全社共通のデータ活用基盤「データドリブンプラットフォーム(DDP)」を展開しています。DDPは社内各システムのデータを自動収集し、可視化・分析する仕組みで、従来は時間や手間がかかっていた情報の集約や判断を、迅速かつ的確に行えるようにします(右図)。
この仕組みを勤怠管理に活用し、部署別残業時間の見える化を行いました。当月の平均残業時間や急増傾向を事前に把握でき、基準超えの兆候が出た段階で現場が速やかに対応を取る体制が整いました。また、可視化された情報は自部署だけでなく関係部署とも共有され、部署間の連携や応援体制の調整にも活用されています。
この仕組みは現場自らがデータに基づいて行動を起こす文化の定着にも寄与しております。従来の「締め後に確認して翌月に対応」という流れから、「その場で捉え、その場で動く」マネジメントへと進化しており、継続的な改善と働き方改革の加速を支えています。
①デジタルエキスパート : 60名(10%)
②デジタルチャレンジャー:360名(60%)
③デジタルユーザー :180名(30%)
全社のDXを戦略的に推進することを目的とし、2022年4 月1日に「DX戦略部」を新設しました。
これまでERPシステムの導入やスマートファクトリー化の推進を通じて、設備・プロセス ・活動などのDX基盤を構築してきました。DX戦略部の新設により関係部門との連携や協働を促し、全社のDX化を戦略的に推進するとともに、ビッグデータなどを活用できる人財の育成を強化します。
さらに、各事業部と本社部門を横断するDX推進体制として、DX戦略部長をリーダ―とした「DX推進協議会」を設置し、具体的な活動テーマを定め、DXを推進してまいります。
全社的にはDX推進協議会を、部門別には分科会を設置し、推進体制を構築。目指す姿に対して、施策の目的や手段の因果関係を明確化できるデジタル価値ツリーをベースに推進し、成果発現を目指します。
短期間でデジタル活用による成果を体現すべく、特にDX推進分科会では、スモールテーマ施策を実行し、評価しています。
当社グループは、情報セキュリティを企業価値向上の基盤と捉え、「情報セキュリティ基本方針」に基づく全社的な対策強化をグループ全体に展開しています。2025年度は、グループ全体を対象としたセキュリティアセスメントを通じて得られた知見を踏まえ、ネットワーク構成、バックアップ、認証、ログ管理等の水準をさらに引き上げ、教育の充実を進めます。これにより、安全性と柔軟性を両立するITガバナンスを確立し、「デジタルガバナンス・コード3.0」に則った継続的なDX推進体制の基盤を整備します。
当社が求めるDX人財は、デジタル技術を駆使し、組織内でデジタル化をリードする専門知識とイノベーションへの意欲を持ちチャレンジする人財です。このDX人財を当社では3階層(デジタルエキスパート・デジタルチャレンジャー・デジタルユーザー)のレベルに分け、それぞれの役割と要件を定めた上で、積極的に人財育成を進めています。
2025年度末までに、スタッフ系社員約600名をDX人財として育成することを目標に掲げ、2024年度は、すべての社員に必要な一定のデジタル知識とデータ活用のマインドセットを醸成するために、デジタルユーザー向けのDXキャッチアップ講座の受講を促し、デジタルユーザーのすそ野を広げてきました。また、デジタル技術を活用した改善をリードするデジタルチャレンジャー、デジタルエキスパート向けの研修体系も整備し、育成を実施しています。当社では、スキル面だけのDX人財育成にとどまらず、失敗を恐れず挑戦する組織風土の醸成と、チャレンジを促す仕組みづくりを並行して進めています。
目標人数の見直し:認定条件の精査により、エキスパート人財認定の要件を厳格化
AI:Artificial Intelligence 人工知能
BI:Business Intelligence データを組み合わせた分析や可視化による意思決定ツール
2022年6月1日 DX認定取得
2024年6月1日 DX認定更新
2024年6月1日、DX推進のための事業戦略やDX人財育成に向けた取り組み等が評価され、経済産業省が定めるDX認定制度に基づき、「DX認定事業者」の認定の更新を受けました。
DX認定制度は、2020年5月15日に施行された「情報処理の促進に関する法律」に基づく認定制度です。デジタル技術による社会変革を踏まえて経営者に求められる対応をまとめた「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応し、DX推進の準備が整っている(DX Ready)と認められた事業者が経済産業省より「DX認定事業者」として認定されます。認定の有効期間は2年で当社は2022年6月1日に認定を取得しており、このたび初めての更新となりました。
当社グループは、DXを重要な経営戦略の一つとして位置づけており、今後も戦略的にDXを推進することで、意識改革や環境整備等を進め、新たな価値を創造してまいります。


