当社グループの考える「DX」

専務取締役
武澤 雅吉
DX戦略管掌
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専務取締役
武澤 雅吉
DX戦略管掌

当社はこれまで、基幹業務システム刷新(ERP system導入)、神奈川製造所をモデル事業所としたエネルギーの見せる化の全社展開、さらには、スマートファクトリーによるモノづくり領域のデジタル変革や省エネ活動を段階的に進めてきました。
このスマートファクトリーを全社の「DX」へと発展させ、操業のみならず経営課題の認識や改善を図るとともに、データを活用する人財育成や組織風土醸成を全社で推進していく体制を立ち上げ、DXの加速に取り組んでおります。また、各組織から収集した豊富なデータを一元管理し、瞬時に共有することで、組織の枠を超えて新たな視点やアイデアを創出し、新たな価値を創造していきます。また、2022年6月には、経済産業省が定める「DX認定事業者(DX-Ready)」の認定を取得するなどDX推進は当社グループにとって重要な経営戦略の一つと捉えています。

DXに取り組む背景

当社グループを取り巻く経営環境は、グローバルでの競争激化やカーボンニュートラル等の気候変動対応などこれまで以上に不確実性、変化の激しい競争環境に直面しています。このような環境下、建設業界におけるBIM適用や、車業界におけるCASE、MaaSなど、当社のお客様においてもデジタル化が加速度的に進展しています。こういった環境変化へ迅速に対応し、顧客と共創していくためにはデジタル技術の活用が不可欠なものとなっています。

DX戦略の推進による経営の高度化

※1 データドリブン:アイデアや経験からではなく、データを起点に活動がスタートされること
※2 デジタルツイン:現実空間の情報を基にリアルタイムで仮想空間に再現する手法
※3 サイバーフィジカル:現実のデータをデジタル上の仮想空間で分析し、勘や経験に頼らず、効率化や新しい価値を生み出す技術

DX事例とその位置づけ

当社の成熟度レベルは、現在、データが見える「レベル2」であり、DX化の基盤構築が完了した段階です。生産や設備稼働の情報などから、その変化を分析、評価、予測することで、個別最適化から全体最適化へと目的を明確化させるスモールテーマの活動を現在推進しています。
今後は、短期間で小さな効果を積み重ねながら、新たな着想を得る・ひらめく「レベル6」を目指し、計画的にDXを推進していきます。

DX推進体制

全社のDXを戦略的に推進することを目的とし、2022年4 月1日に「DX戦略部」を新設しました。
これまでERPシステムの導入やスマートファクトリー化の推進を通じて、設備・プロセス ・活動などのDX基盤を構築してきました。DX戦略部の新設により関係部門との連携や協働を促し、全社のDX化を戦略的に推進するとともに、ビッグデータなどを活用できる人財の育成を強化します。 
さらに、各事業部と本社部門を横断するDX推進体制として、DX戦略部長をリーダとした「DX推進協議会」を設置し、具体的な活動テーマを定め、DXを推進してまいります。

全社推進体制とテーマの発掘

全社的にはDX推進協議会を、部門別には分科会を設置し、推進体制を構築。目指す姿に対して、施策の目的や手段の因果関係を明確化できるデジタル価値ツリーをベースに推進し、成果発現を目指します。
短期間でデジタル活用による成果を体現すべく、特にDX推進分科会では、スモールテーマ施策を実行し、評価しています。

トピックス

DX認定取得

2022年6月1日 経済産業省が定める「DX認定事業者」の認定を取得しました。
DX認定制度とは、「情報処理の促進に関する法律」に基づく認定制度で、DX推進の準備が整っている(DX Ready)と認められる企業を経済産業省が認定する制度です。

今後も当社では、DX活用による安定的な利益創出に向けて、DX推進による意識改革(業務改革) と環境整備を実行し、新たな価値を創造してまいります。
 

省エネルギー、ピーク電力低減

デジタル技術を活用してピーク電力を低減

「エネルギー見せる化システム」の実績データをベースに、電力需要をシミュレーションして、ピーク電力によるコスト低減を実現しました。具体的には、電力実績データをもとに、生産需要に応じたピーク電力を30分毎に予測し、休憩時間シフトや設備起動タイミングの適正化により契約電力を減設しました。
今後はAIを活用した予測精度向上によるさらなるピーク電力低減施策の実証を図ります。また、将来、省エネ法(※1)改正対応の進展として社外とのDR(※2)でのボーダレス連携を見据えて、操業と電力需要管理の基盤を構築していきます。

※1  省エネ法:エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律
※2  DR(デマンドレスポンス):需要家側のエネルギーリソースを制御し、電力需要をコントロールする仕組み

業務変革とデジタル活用の両利き育成

当社グループでは、業務変革(トランスフォーメーション)とデジタル情報の活用ができる人財を積極的に育成しており、グループ全体の底上げ施策(業務の効率化、高度化)と個別エキスパートの養成を同時に推進しています。
また、グループ全体の底上げ施策の一つとして、現業系、スタッフ系の日常における具体的な「悩み事」の解決に寄与するデジタル技術を優先的に導入し、業務変革の浸透を図ります。

AI:Artifi cial Intelligence(人工知能)

BI:Business Intelligence(データを組み合せた分析や可視化による意思決定ツール)

DX人財育成計画

2025年度末までにスタッフ系社員約600名をDX人財として育成します。育成にあたっては、DX人財レベルに応じた教育体系を整備して進めていきます。

目標

①デジタルエキスパート :  60名(10%)

②デジタルチャレンジャー:360名(60%)

③デジタルユーザー   :180名(30%)

DX人財レベル割合イメージ

目標達成度